2023/04/10 |
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ー起立性調節障害ー 漢方対策とカウンセリングについて |
起立性調節障害とは、自律神経系の失調が原因で、心臓・血管・リンパ管などの循環器の働きがうまくいかないことで起こる疾患です。その名のとおり、起立時におこる障害で、頭部に行く血圧が下がり、めまい・立ちくらみなど様々な症状を伴います。主に思春期に発症しますが、近年、大人にもみられるようになり、社会生活に支障をきたすケースが増えています。
※起立性調節障害は、怠け・仮病などではありません。
自律神経とは、自分の意志とは関係なく自律的に働く神経のことです。
交感神経と副交感神経の2つの神経からなり、体のON・OFFを切り替えるスイッチのような役割をします。
呼吸や心臓、胃腸の働きなど、無意識にコントロールできているのは、自律神経のおかげです。
この自律神経は【気温・気圧・ホルモンバランス・ストレス・体の成長・生活リズムの変化】など様々な要因から影響を受けます。
自律神経の失調 ≠ 精神的な弱さ とは限りません。
ただ、それらの要因が過度に影響すると、自律神経のバランスが崩れ、起立性調節障害のような機能不全を起こすことがあります。(※無理なダイエット、過度な運動、摂食障害 などがきっかけで、起立性調節障害を起こすこともあります。)
☑朝が起きられない ☑頭痛・めまい・立ちくらみ
☑午前中、調子が悪い ☑立ち上がった時に気分が悪くなる
☑動悸・息切れ ☑入浴時に気分が悪くなる
☑食欲不振・腹痛 ☑乗り物酔いしやすい
☑倦怠感・疲れやすい ☑顔色が青白い
※寝た状態になると、症状が軽減しますが、重度になると起き上がれなくなることもあります。
※起立時に下がりすぎた血圧を上げるため、頻脈を起こすことがありますが、起立性調節障害のタイプによっては徐脈をおこし失神する場合があります。
・脳脊髄液減少症
・難治性片頭痛
・心身症 等
その他、甲状腺疾患や副腎機能低下などホルモンが関与する病気のほか、貧血や心臓の病気でも似た症状が現れることがあります。
漢方では、起立性調節障害を気(エネルギー)や血(栄養)の不足から、体内に余剰な水液(痰湿:たんしつ)が生まれることで起こると考えます。
そのため以下の方法を行ないます。
・胃腸(五臓の脾)を整え、食べ物の消化吸収を高めることで、気血の不足を補い筋肉を養う
・体内に生まれた余剰な水液(痰湿:たんしつ※)を取り除く
※水毒と表現する場合もあります。
起立性調節障害は、虚証(きょしょう)といって、体力が落ちている状態です。
一般的に虚証は、高齢者や病気を患っている場合に多くみられますが、思春期の場合、沢山の栄養を成長するエネルギーに変えているため、気血が不足しがちです。大人の場合は、仕事・家事・人間関係からくる過度なストレス、不規則な生活リズム、運動不足 などが要因となり、虚証へ陥りやすくなっています。そのため、気血の不足を改善することが大切です
気血は、胃腸から食べ物を吸収して生まれるため、胃腸の機能を整え、体力を回復する(筋肉を養う)漢方薬を用います。また漢方では胃腸を整えることは、精神面にも影響を与えると考えており、不安感や緊張状態などの改善に効果的です。
体の気血が不足すると、それを流す力や材料も不足します。【川の流れに例えると、水量が少なくて、水が流れにくい状態】です。流れが悪くなると、体の至る所で【滞り=痰湿】を生じます。痰湿が生じると、それを押し流そうと、頑張って心臓を動かすため、動悸・息切れが起こります。
また心臓に過度な負担がかかると、血液を流す力が弱まり頭部に行き渡らず、起立性調節障害を起こします。
心肺機能や代謝を高める漢方薬を用いることで、余剰な水液(痰湿)を生み出さず、気血水の流れを整えます。
その他、虚証がひどい様ならアミノ酸製剤、気血の滞りがひどい場合は理気剤や活血剤を用いるなど、体質を見ながら対策します。
起立性調節障害は、その裏側にストレスを抱えていることが多く、再発を繰り返す要因となることも少なくありません。そのため、心の問題を紐とくことは、起立性調節障害の改善に大切な要因と考えます。
当店では、カウンセリングに力を入れており、個々の考えを尊重し、接客しています。
・ストレスのかわし方
・気持ちの整理の仕方
・問題に気付くきっかけ
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ご本人の気持ちの問題はもちろん、当事者を抱えるご家族のお悩みについても、ご相談に応じています。
またカウンセリングのみも行なっておりますので、気になる方は、お気軽にご連絡ください。