2024/04/15 |
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耳の詰まり(耳閉感)と漢方対策 |
季節の変わり目になると、耳の詰まり(耳閉感)を訴える方が増えてきます。
自分の声がこもって聞こえたり、相手の言葉が遠くに聞こえるなど 生活に支障をきたすことも少なく
ありません。こういった症状には、様々な要因が考えられますが【耳管狭窄症】や【耳管開放症】等の
病気が、関与していることがあります。
耳管狭窄症は、その名前の通り、耳管が押しつぶされて狭くなってしまう病気です。
狭くなる要因は様々ありますが
・風邪などの感染症
・急性鼻炎
・上咽頭炎
・副鼻腔炎
・アレルギー性鼻炎 など
こういったことで、耳管開口部の周辺が炎症を起こし狭くなり、音がこもって聞こえるなどの症状を起こす
ことがあります。
~漢方の対策~
漢方では【耳管周囲の炎症をとったり、その周りの血流やむくみを改善】することを考えます。
炎症をとる際は、銀翹解毒散や五味消毒飲といった『清熱解毒』の働きがある漢方薬を用いたり
むくみや血流を改善する際は、五苓散や冠元顆粒のような『利水や活血作用』のある漢方薬を
用いることがあります。耳管開口部の炎症は、むくみや血の滞り(瘀血)を生む原因となるため、
炎症をとるだけでなく、気血水の流れを良くすることも行ないます。
耳管開放症は、狭窄症とは逆で、何らかの原因により耳管がうまく閉じれない状態になる病気です。
耳管がうまく閉じれなくなる要因には、
・急な体重減少(病気、過度なダイエット)
・ストレス
・加齢(筋力の低下)
・過労
・低血圧
・脱水 など
上記のようなものが挙げられます。また体勢を変えると(横になる・頭をさげる)症状が一時的に改善する
特徴があります。
~漢方の対策~
漢方では、耳管開放症の多くは、五臓のバランスが崩れることで起こりやすくなると考えており、それぞれの状況に合わせて対応します。
<代表例>
・肝が原因の場合
五臓の肝は、気の巡りを調節することで『自律神経のバランス』を整える働きがあります。
そのため強いストレスを感じると、肝の機能が低下し、気の乱れから『耳鳴り』などを起こすことがあります。耳は、沢山の経絡(気の通り道)が集中しているので、気の巡りを良くしたり、肝の興奮を鎮める漢方薬を用いることで、耳の不調を見直します。
・脾が原因の場合
五臓の脾は、『胃腸の働き』や『体の水分代謝』に関わっています。
胃腸は、筋肉を養う栄養を消化吸収する大切な場所です。胃腸の機能が低下すると、筋肉量が低下し、血流や水分代謝が悪くなるため、耳管がうまく閉じれなくなることがあります。過度なダイエットや病気などは、脾の働きを著しく低下させるため、漢方では、脾の働きを高める漢方薬を用いて改善します。
・腎が原因の場合
五臓の腎は、生命エネルギー(腎精)を蓄える働きがあります。
腎精は体の至る所で利用されており、耳に滋養を与えています。そのため腎精が不足(腎虚)すると、耳の老化が早まり、難聴など音が聞こえづらくなることがあります。また腎虚は、加齢だけでなく、過労などでも進行するため、若い方でも注意が必要です。漢方薬としては、補腎薬・活血薬などを基本に用います。
耳の不調の改善には、日頃の生活習慣を見直すことが大切です。
良質な睡眠をしっかりとり、胃腸を整え、心身ともにリラックスした状態を心がけましょう。
長引く耳の不調でお困りの方は、お気軽にご相談ください。