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2023/08/08
夏のパニック発作 ~心との関係性~

■夏に増えるパニック発作

今年も、暑い夏がやってきました。これだけ暑いと、少し動くだけで心臓がバクバクしたり、動悸・息切れなどを起こすことも少なくありません。

 

こういった症状は、暑さからくる『自然の反応』なのですが、パニック障害をお持ちの方は、そういった症状を『死に繋がる病気』と捉え発作を起こしやすくなります。

 

では、どうして誤作動(=パニック発作)を起こしてしまうのでしょうか?

漢方では、以下のようなことが原因で起こると考えます。

 

 

■心(しん)の負担は、こころの負担

夏に増えるパニック発作の場合、特に関係するのが『五臓の心』です。

五臓の心 (以下心)は、心臓の機能以外にも、精神をコントロールする働きがあります。

 

こういった働きは、気(エネルギー)や血(栄養)の影響を受けながら機能を維持していますが、汗を大量にかいてしまうと、気も一緒に消耗したり、体を維持するための血も不足しやすくなります。

 

特に心の気血が不足してしまうと、脳に気血を送ることができなくなり、強い不安感や焦燥感、思考が上手くいかない といった精神の乱れが生じやすくなります。

 

因みに漢方では、『汗は心の液』とも呼ばれ、大量に汗をかくと、心への負担が上がると考えられています。

夏にパニック発作が起きやすい、大きな原因の一つといえるでしょう。

 

また心は、五臓の肝・脾・腎との繋がりもあるため、その他の五臓の機能が落ちている場合も、同様に心の負担が上がり、パニック発作を起こしやすくなります。

 

 

 

■パニック発作を起こしやすい体質

漢方では、体質(=五臓)を見直すことで、パニック発作へのアプローチを行ないます。

特に夏のパニック発作は、五臓の心を中心に、肝・脾・腎などの働きが落ちることで、発作を起こしやすくなるため、それらのバランスを整えることで、体質を見直します。

 

 

【参考例】

  心肝血虚タイプ ●動悸、驚きやすい、不安、不眠、多夢、めまい 目の疲れ、爪がわれやすい、髪のぱさつき、生理不順 等 

●進行すると、発作の症状が更にはげしくなる状態【心肝火旺】に移行する場合がある

●血虚は【瘀血:おけつ】といった血流の滞りを生む原因に

  心腎不交タイプ ●心煩(モヤモヤ・不快感・落ち着かない状態)、手足の裏が熱っぽい、不整脈、不眠、寝汗、口渇、健忘、耳鳴り、神経衰弱、便秘 等 

●心の負担が、腎にも影響をおよぼしている状態。高齢者、病中病後の方、体力虚弱な方 に現れやすい

  心脾両虚タイプ ●心虚の症状に加え、健忘(物忘れ)、食欲不振、食後の腹張、倦怠感 等 

●心の負担が、脾(胃腸)にも影響をおよぼしている状態。

●胃腸の負担が過度にかかると【痰湿:たんしつ】を生み出し、パニック発作の原因になる場合がある 症例はこちら

   腎虚タイプ ●動悸、息切れ、不安、恐れ、倦怠感、手足の冷え、健忘、精力減退 等 

●先天的な病気(甲状腺機能低下)などが原因の場合もあるが、食事の不摂生や睡眠不足などから腎虚を起こすことも

 

上記の参考例は【虚証:きょしょう】といって、体に必要なものが不足している状態です。

パニック発作を起こしやすい体質の多くは、こういった虚証タイプにみられるため、改善には【補剤:ほざい】や、【気血水の流れを良くする方剤】などを組み合わせる場合があります。

 

 

 

■まとめ

西洋医学では、パニック発作は、脳内の神経伝達物質のバランス失調が原因と考え、その治療に、

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、抗不安薬などを用いる場合があります。

一方漢方の場合、局所的な部分にとらわれず、体全体のバランスを整えることで、体質から見直します。

 

☑胃腸虚弱

☑体が疲れやすい

☑不眠傾向

☑首・肩凝りなどがある

☑肌が敏感

☑大きな音が苦手

☑冷え性

☑飲酒や喫煙の習慣

 

上記に該当する方は、体のバランスが崩れやすくなっている可能性があります。

繰り返すパニック発作でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

 

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