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2023/06/27
梅雨に増える喘息 ~漢方にできること~

梅雨になると増える『片頭痛』や『喘息』。

その一つ『喘息』は『マダニやカビなどの繁殖』や『気温・気圧の変動』等が原因で起こりやすくなります。

また今年は、梅雨時期にも関わらず、風邪やインフルエンザなどの流行もあり、罹患後に咳が続くこともあるため、咳喘息へ移行しないよう注意が必要です。

 

 

■梅雨の喘息は『アレルギー』と『むくみ』に要注意

喘息は、気道が慢性的な炎症を繰り返すことで狭くなり、呼吸が苦しくなる病気です

そのため、狭くなる原因を取り除くことが重要です。

 

ここでポイントになるのが『アレルギー』と『むくみ』。

 

『アレルギー』の場合、梅雨においては『マダニやカビなどの繁殖』や『気温の変動』の影響があります。

梅雨で増殖した『マダニやカビ』を継続的に吸い続ければ、体はそれを異物と捉え攻撃し、慢性炎症の原因となります。また『気温の変動』は、『自律神経の乱れ』を起こし気道を狭くします。免疫を整え、気温変化に負けないためにも、適度に運動して、汗を上手にかくことが大切です。

 

※アトピー性皮膚炎のある方は、経皮感作といって、皮膚表面から異物が侵入しやすく

 喘息のリスクが上がり易いため、特に注意が必要です。

 

『むくみ』の場合、気道がむくみ圧迫することで、喘息を誘発しやすくします。

特に湿度の多い梅雨時期は、汗が上手くかけず、体内に余剰な水分が溜まり『むくみ』やすくなります。

また台風が近づくと、地表の空気が減るので、血管やリンパ管が広がり『むくみ』が起こりやすくなるため、更に注意が必要です。

 

          梅雨+台風=むくみ↑↑ ・・・・・・ 喘息発作に要注意!

 

今年のように『風邪やインフルエンザ』が流行している時は、のどの炎症や咳だけが残り、咳喘息へ移行するケースもあるので、しっかりと予防も心がけましょう。

 

 

■喘息と気陰不足

漢方では、異物(マダニ・カビなど)や環境(湿度・ストレスなど)を、『外邪:がいじゃ』と捉え

それが原因で『気』や『陰』が不足すると考えます。

 

◆気について

気とは『体のエネルギー』のことで、以下の働きがあります。

・粘膜を保護するバリア機能

・体温を一定に保つ

・血液や水分を運搬する

・自律神経の働きに関与

 

気が不足すると、粘膜から異物が侵入しやすくなるため『アレルギー反応』を起こしやすくなったり

体温を一定に保つ働きも落ちてしまうため、寒暖差の影響を受けやすくなります。

他にも、血液や水分を全身に運ぶ働きがあるため、不足すると余剰な水分がたまり『むくみ』の原因になります。また気の流れが滞ると、ストレスが生まれ、イライラや焦りといった症状が出やすくなります。

 

◆陰について

陰とは『体に必要な栄養や水分』のことを言います。

喘息は、気道の慢性炎症なので、陰が常に不足しやすい状態になっています。

特に梅雨の蒸し暑さは、汗をかきづらくし、体の中に熱をこもりやすくするため、常に体のエネルギー(気)や栄養(陰)を消耗し続けてしまいます。

 

このように梅雨の喘息は、湿度やアレルギーから、気陰不足を起こしやすくなります。

そのため漢方では、以下の対策とともに、不足した気陰を補うことを行ないます。

 

 

■喘息タイプの特徴と対策

漢方では一般的に喘息は、急性期(実証喘息) と 慢性期(虚証喘息) があり、症状によって

寒喘、熱喘、痰喘、気虚喘、陰虚喘、陽虚喘 にわけて対応します。

また急性期の場合は、五臓の肺を中心に治療し、慢性期は肺だけでなく、五臓の脾・腎の影響も考えて対応します。

 

●外感喘息

外感喘息とは、外邪によっておこる喘息です。外邪は六つに分類され、そのうち【風邪・寒邪・燥邪・熱邪】が、特に喘息と関係があります。そのため、それぞれの邪気に対して異なる方剤を用います。

外邪は【マダニ・カビ・ハウスダスト】なども含まれます。

例)

寒喘  寒邪の侵入により起こる喘息。舌や痰が薄白、口渇がない、無汗、悪寒、頭痛、発熱
 方剤:麻黄湯、小青竜湯、神秘湯、蘇子降気湯 など
熱喘  熱邪の侵入により起こる喘息。咳がひどく現れ、呼吸も荒くなる。黄色く粘りのある痰、胸痛、胸悶、口渇、冷たい物を好む、発熱、尿黄、便秘、舌紅
 方剤:麻杏甘石湯、清肺湯、五虎湯 など

 

 

●痰飲(食滞)喘息

体内に生じた余剰な水分『痰飲:たんいん』が、肺気の流れをふさぎ喘息を起こします。

『痰飲』は、暴飲暴食(間食・冷たい物・脂っこい物の取りすぎ)から、五臓の脾胃の働きが悪くなり、食べ物が滞ることで生まれます。また『痰飲』のある方は、外からの湿気を呼び込みやすくなるため、より注意が必要です。

梅雨の【むくみ】でおきやすいのは、このタイプ。

例)

  痰喘   痰飲によって気道がふさがれるため、喘鳴が同時に現れる。痰の量が多い、食欲不振、悪心、胸悶、舌に厚い苔ができる
 方剤:二陳湯、半夏厚朴湯、柴朴湯、蘇子降気湯 など

 

 

●気滞喘息

ストレスなど感情の変動により、気(特に五臓の肺・肝)が不足し滞ることから喘息を起こします。

例)

気虚喘  気短(息切れ)、自汗、かぜを引きやすい、疲労感、食用不振、軟便
 方剤:生脈散、香砂六君子湯 など

 

 

●肺虚・腎虚喘息

慢性期の喘息。咳が続き、体のエネルギーや潤いを失い喘息を起こします。

肺だけでなく、脾・腎にも影響を及ぼしており、様々な角度から治療が必要になります。

気虚喘が進行している状態。

例)

陰虚喘   喘息が強い、痰が少なく切れにくい、腰痛、耳鳴り、ほてり、寝汗、口渇、夜間の咳、舌紅、苔少、脈細、頻脈
 麦門冬湯、滋陰降火湯、八仙丸、衛益顆粒 など
陽虚喘   呼気は容易だが吸気が困難、易疲労、多汗、足腰の冷え、腰痛、頻尿、浮腫、痰薄い、脈弱、徐脈
 八味地黄丸、麻黄附子細辛湯、双料参茸丸 など

 

 

 

■喘息に漢方ができること

漢方では、喘息が生じやすい体質を見直すことで、発作を起こしにくくすることを大切に考えます。

 

☑ アレルギー体質の見直し

☑ むくみがおきにくい水はけの良い体

☑ 風邪をこじらせない免疫力

 

免疫を整えるなど体質を改善することは、漢方の得意なところ。

梅雨の喘息でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

 

 

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