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2023/03/01
新型コロナウィルス後遺症と漢方の考え方

新型コロナウィルス後遺症は、罹患後に他の原因がなく、倦怠感、息切れ、思考力や記憶への影響などの症状が長引く状態を言います。その数は正確に把握されておりませんが、発症してから2ヶ月後、感染した方の約4割に何らかの後遺症があることが明らかになってきました。またウィルスの変異株によって、後遺症の現れ方も変化しており、漢方での対応も変化しています。

 

 

■症状

疲労倦怠感、思考力の低下、記憶障害(ブレインフォグ:brain fog)、抑うつ、微熱、筋力低下、関節痛、筋肉痛、頭痛、味覚障害、嗅覚障害、咳、痰、息苦しさ、息切れ、胸痛、痺れ、睡眠障害、脱毛など、多岐にわたります。

 

 

■原因

肺や血管などの障害、自律神経や中枢神経の障害、ストレスなど 様々な要因が挙げられていますが、現在はまだ解明されていない点が多くあります。

 

 

■西洋医学的な治療

西洋医学では、主に各症状に応じた対症療法が行われます。抗炎症薬や鎮痛薬、抗不安薬、抗うつ薬、睡眠薬、鎮咳薬、去痰薬などの他、抗ウィルス薬や中和抗体薬などを用いる場合があります。

 

 

■漢方での後遺症の考え方

漢方では、湿毒の邪気が肺を侵し、経絡や血管を傷つけることで、気・血・水のバランスが崩れ、五臓へ影響を及ぼし起こると考えられています。そのため活血剤(かっけつざい)は、基本用います。

 

湿邪は、胃腸に滞まる特性があるため、食欲不振・下痢などの消化器症状の他、四肢のだるさや関節痛などの症状を起こしたり、長く留まれば痰湿(たんしつ)という、体に余剰な副産物を生み出します。痰湿は、熱邪や寒邪、毒邪など他の邪気を伴うことも多く、病気を長引かせる原因となるため、早めの対処が重要です。

 

また一般的な風邪のような邪気は、呼吸器から侵入し徐々に内側を傷つけていきますが、新型コロナウィルスのような強い邪気は、直接体内に侵入し、いきなり強い症状がでる場合があるため注意が必要です。

 

●邪気がを傷つけると、肺の気陰両虚と気機阻滞 を招きます。

症状としては喉咽の痛み、咳、痰、息切れ などの呼吸器症状の他、嗅覚の異常などが多くみられます。また喫煙者や風邪を繰り返し引く方は、呼吸器系の後遺症も残りやすいため注意が必要です。方剤としては【肺気・肺陰を補う漢方薬】や熱邪がからむ場合は【清熱化痰の漢方薬】、味覚嗅覚の異常がある場合は【牡蛎肉エキス】などを用います。

 

●邪気がを犯すと心気・心血を消耗します。

心気血が消耗すると、心臓だけでなく脳に血液が供給されないため、動悸・胸痛のほかに、記憶障害(ブレインフォグ:brain fog)、話の理解ができない、頭重、頭痛、焦燥感、不眠、不安等の症状を引き起こします。方剤としては【心の気血を補う漢方薬】や胸痛、ブレインフォグなどが酷い場合は【牛黄製剤】を用います。

 

●邪気が脾腎を傷つけると、気陰虚損をおこします。

脾は胃腸などの消化器の働きに関与するため、邪気が侵襲すると、食欲不振、下痢や軟便、 筋力の低下などを起こします。方剤としては【脾気・脾陰を補う漢方薬】を用います。また腎には生命エネルギーを貯蔵する役割や、免疫の調整、呼吸を納める働きなどがあるため、痛めると、呼吸が苦しくなったり、倦怠感などの他、症状が長引く原因になります。特に高齢者や持病のある方などは、虚証がベースにあるため【気血水の不足】はもちろん【瘀血:おけつ】といった血の滞りも見られるため、様々な後遺症が現れる方が多くみられます。そのような方には腎の働きを助ける【補腎薬:ほじんやく】や血流を改善する【活血薬:かっけつやく】などを用います。

 

その他、目の充血や乾燥が続く方には、田七人参や枸杞子を含有する方剤を用いるなど、体質に合わせた漢方薬を用います。

 

■まとめ

漢方での対策は、同じ疾患でも個々により使用する方剤も異なります。体質や既往歴はもちろん、後遺症の経過や、ウィルスの変異株等によっても変化していかなければなりません。

長引く後遺症に『自分にどんな漢方薬が良いのか』お悩みの方は、お早めにご相談ください。

 

 

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