2023/12/15 |
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正月休み明けは要注意 ~冬季うつと漢方対策~ |
冬になると、気分が落ち込み、やる気がおきない、日中眠たい、やたらと食欲がある など、体に違和感を
感じることはありませんか?こういった症状が続いている方は、もしかしたら冬季うつの可能性があります。
冬季うつは、季節性情動障害(SAD)とも呼ばれ、10月~12月に発症しやすいのが特徴です。ただ今年は暖冬のため、12月に入ってから症状を訴える方が増えてきました。20~40代の女性、筋肉量の少ない方、過労ぎみの方、高齢者 などに多くみられ、春になっても症状が続くことがあるため、早めの対処が大切です。
冬季うつは、一般的なうつ症状と異なり、過食・過眠になる傾向があります。
これは、日照時間の減少や気温の変化などで、ホルモンバランスを崩し、脳内の神経伝達物資が減ることで起こると考えられています。また正月休みは、生活リズムが崩れやすく、過食・過眠になりやすいため要注意。週末『寝溜め』をすよう方は、特におちいりやすいので、規則正しい生活を心がけましょう。
一般的なうつ | 冬季うつ | |
共通点 | 気分の落ち込み、イライラする、疲れやすい、物事が楽しめなくなる、やる気が起きない | |
異なる点 | 食欲がない、眠れなくなる | 食欲が増す、睡眠時間が長くなる、朝起きられない |
★過食・過眠以外だけでなく『体重増加』がある方も注意しましょう。
冬季うつは、漢方では体を温めるエネルギー『陽気』が不足することで起こると考えます。
陽気は『心の元気の源』。不足すると、気分の落ち込みや睡眠障害などが起こりやすくなります。
陽気不足には、以下の要因が係わります。
先天的な要因 | 後天的な要因 |
昔から冷え性
胃腸虚弱 筋肉量が少ない 若白髪 骨や歯がもろい 無月経・無排卵
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過労・睡眠不足
冷たいものを好む カフェインのとりすぎ 偏食(甘い物・炭水化物のとりすぎ) 運動不足 加齢
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漢方では、先天的・後天的な要因 が合わさって、冬季うつが起こると考えます。
■先天的な要因
先天的な要因には、『持って生まれた体質』が関わり、両親の影響を受けます。
こういった体質は、変えることが難しいと思われがちですが、漢方では『体の弱い部分を補う』方法があります。体を内側から温めたり、胃腸の働きを高め筋を養ったり、また生殖機能不全や若白髪 がある方の場合『補腎薬』といった生命エネルギーを補う漢方薬などを用いることで、先天的に弱い部分を補うことができます。
■後天的な要因
後天的な要因は、『生活習慣や環境』の影響を受けることで生じます。
そのため、『今起きている症状を改善する』ことと『養生』を取り入れることが大切です。
疲れを解消し、良質な睡眠に導く漢方薬を用いたり、乱れた食生活を整える養生法などを取り入れることで、症状を改善します。
どちらの要因にも、漢方薬は効果的です。
正月はお休みが続き、生活のリズムが崩れやすくなります。食べ過ぎ・飲み過ぎ・寝過ぎは厳禁。
冬季うつを助長する要因になるので避けましょう。また胃腸を冷やすのも良くありません。
胃腸を冷やすと、消化吸収する力も弱まり十分な栄養がとれず、こころに栄養を届けることができません。食欲がないからといって、炭水化物や甘い物のような、自分の好きなものばかり食べていると、脳が栄養不足と感じ、それを補おうと過食傾向になります。
またカフェインは利尿作用があり、尿とともに熱を出すので体を冷やしてしまいます。コーヒー・緑茶などの取りすぎは注意しましょう。
どんなに良い栄養を取っていても、それを吸収し送り届けることができなければ、意味はありません。
バランスの良い食事だけでなく、体の内側の機能も高めることが大切です。
こういった体の機能を高めることは、漢方の得意なところ。
冬季うつを治したい、また冬季うつを予防したい方は、お気軽にご相談ください。