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2019/07/16
多膿疱性卵巣症候群(PCOS)について

◆多膿疱性卵巣症候群(PCOS)について           

多膿疱性卵巣症候群(以下 PCOS:polycystic ovarian syndrome)は性成熟期女性(18~45歳くらい)の約10%に見られる疾患で排卵障害の一種とされています。月経異常や不妊症の原因の一つだけでなく、肥満・脂質異常を伴い心臓関係やメタボリック症候群のリスク因子としても注目されています。

 

PCOSでは、卵巣の外側(厳密には卵巣被膜下)に10mm以下の卵胞が多数つらなりネックレスの様な形をし、卵巣表皮が厚くなるのが特徴です。そのため卵胞の成長は止まり排卵がうまくいかず、月経周期も長くなります。

 

自覚症状           

・月経異常(月経周期が35日以上、月経が不規則、無月経など)

・にきびが多い、多毛

・肥満傾向の方

 

等が挙げられます。また診断基準としては 月経異常以外に 多膿疱性卵巣、血中男性ホルモン高値またはLH基礎値高値かつFSH基礎値正常が挙げられます。(男性ホルモンの影響については、とくに欧米人に多くみられる傾向にあり、日本人の場合外観による所見だけでは分かりづらい場合もあります。)

 

漢方的な考え                 

漢方的にはPCOSは主に【肝鬱・腎虚・瘀血・痰湿】などが原因と考えられ、さらに熱証が強い場合には涼血をしたり、脾虚のある方には胃腸を整える方剤を用いるなど、弁証(≒体質)にあわせて漢方薬をお選びします。

 

肝鬱気滞(かんうつきたい)タイプ: 五臓の肝は自律神経の調節や気をコントロールする働きがあります。ストレスが過度にかかると、自律神経を調節する肝の機能が乱れ、その結果、気の流れが滞り卵巣の働きが悪くなり、排卵に影響がでると考えられています。肝気の流れを良くする漢方薬には以下のようなものがあります。

方剤例)炒麦芽、逍遥散、芍薬甘草湯など

 

腎虚(じんきょ)タイプ: 腎は五臓の中で、生きるために必要なエネルギーを蓄えたり、生殖器官やホルモン代謝などを司る働きがあります。その腎が衰えると、不妊や生理不順、精力減退などの症状が現れやすくなります。漢方薬で腎の機能を補うことで、ホルモンバランスを調え、自然な生理周期や排卵を導いてくれます。

方剤例)腎陽虚型⇒参茸補血丸、双料参茸丸など  腎陰虚型⇒亀鹿仙、杞菊地黄丸、二至丹など

 

瘀血(おけつ)タイプ: 血液の流れが悪い状態。卵巣周辺でもうっ血が生じて、排卵しにくくなっていると考えられます。血行を促進し、うっ血を取り除く漢方薬が有効です。

方剤例)冠元顆粒、爽月宝、芎帰調血飲第一加減など

 

痰湿(たんしつ)タイプ: 痰湿とは、体内にある不必要な水分のこと。漢方では胃腸(脾)は水分代謝を司ると言われ、胃腸の機能が落ちると余分な水分(痰湿)が溜まると考えられています。ストレスや暴飲暴食などで生じた痰湿が、卵巣の働きを低下させ、排卵障害を起こすと考えられています。

方剤例)シベリア霊芝、温胆湯など

 

※婦宝当帰膠は補血活血の働きがあり、血虚や瘀血タイプの方だけでなく、上記のタイプの方にも幅広く併用されます。

 

まだまだ不明な点が多いPCOSですが、漢方を上手に取り入れることで、より妊娠しやすい体づくりにつながります。症状でお悩みの方は、お気軽にご相談下さい。

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