2019/07/08 |
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子宮内膜症 |
不妊症の中でも、大きな原因の一つとして挙げられる【子宮内膜症】。激しい生理痛や腰痛、中には排便痛、性交痛などの症状を訴える方もあり、妊娠可能な女性の約10~20%が掛かっているといわれています。また簡易検査でわかりにくいものもあり、排卵誘発剤や黄体ホルモン剤の使用で、複雑化するケースも少なくありません。
子宮内膜症は、内膜に似た組織が子宮腔以外に発生し増殖する病気です。子宮内なら普通に内膜が増えたあとも剥離し、生理として排出されますが、子宮腔以外だとうまく排出されず、癒着や炎症を起こしてしまいます。この炎症からくる痛みは、月経がある限り持続するのが特徴で、妊娠・閉経時には落ち着きます。
発生のメカニズムは、まだはっきりと分っていませんが、漢方では、異常な内膜の増殖は【瘀血癥積(おけつちょうせき)】と言われ、血液の流れが悪くなり、腫瘍や塊が出来ている状態と考えます。原則として、活血化瘀(かっけつかお:血行を改善し、血の滞りを解消する)・消腫散血(しょうしゅさんけつ:血液の流れを良くし、腫瘍や塊を消す)の働きのある漢方薬を用いるほか、状態に合わせて消炎止痛や補腎の漢方薬を併用します。
妊娠をご希望される場合は、体の状態に合わせて、周期に関係なく活血薬を用いたり、冷えのひどい方には補腎陽の漢方薬を用いる等、体質に合わせアレンジする必要があります。とくにホルモン療法で卵子の状態が良くない場合には、体を休めることも重要。問題点がある程度改善され、基礎体温も整ってきたところで、周期調節法を行うとスムーズに妊娠される場合もあります。
生涯の月経量が多いほど発症するリスクが高いとされる【子宮内膜症】。初潮から閉経までの期間が長く、出産年齢が高くなった現在は、とくに増加する傾向にあります。症状が進行すると不妊の原因にもなるため、病気をきちんと理解し、早期の段階から適切な対処をすることが大切です。