漢方コラム・ニュース

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2024/01/26
更年期障害と漢方薬

242070771、更年期障害とは

更年期障害とは、卵巣のはたらきが衰え停止するまでの期間をいいます。だいたい50歳前後に閉経を迎えるので、その前後の約10年間を「更年期」といいます。 閉経を境にして、生殖機能を担う卵巣ホルモンの分泌量が大きく変化しますので、体調にも大きな変化が訪れます。更年期障害は非常に個人差が強く、ほとんど症状のない方から、生活に支障がでるほど強い症状がでる方までさまざまです。また、もともとの性格にも影響されるため、人によってはとても強い症状がでることがあるのです。強い症状が出る人を更年期障害といっており、「更年期障害は、更年期にあらわれる多種多様の症候群で、器質的疾患に相応しない、自律神経失調症を中心とした不定愁訴を主訴とする症候群」と定義されています。一説では、日本人女性の半分以上に更年期障害の症状がでるといわれています。

 

 

2、更年期障害の原因

更年期障害の主な原因は、卵巣の機能低下によりエストロゲンの分泌が減少することです。また、閉経前後というのは家庭、子供、仕事などのストレスが強くなる時期にもあたることが多いため、そのストレスも更年期障害の原因となります。

ところで、更年期障害と同様の症状は両方の卵巣をとる手術をした後や子宮内膜症・子宮筋腫などで点鼻薬や注射によるホルモン療法の副作用としても生じます。閉経ではなくても、過度なダイエット、不規則な生活、ストレスや過労などによっても一時的に卵巣の機能が低下して更年期障害の様な症状を生じることがあります。

 

 

3、更年期障害の症状

更年期はいろいろな症状が現われます。多彩な症状をおおまかに分けると、以下の4つがあります。
①膣の乾燥、性欲減退、骨粗鬆症などの女性ホルモンの分泌減少による症状

②冷えとのぼせ、汗かき、ほてり、動悸などの自律神経失調による症状

③不安感、落ち込み、焦燥感、不眠など精神神経症による症状

④頭痛、肩こり、血圧上昇、高脂血症、肥満など血行不良による症状

 

 

4、更年期障害の漢方治療

更年期障害の本質のホルモン分泌の低下は、漢方医学では『腎虚』と考えています。「腎虚」になると、腎とつながりが深い骨、生殖、排尿、耳、歯、髪などに症状が現れますので、骨粗鬆症や膣の乾燥、性欲低下などの症状が現れます。一方、のぼせ、汗かき、動悸、肩こり、不安感、不眠などの多彩な症状は、漢方医では「肝気の鬱滞」と考えています。よって、更年期障害の基本的な治療方針は、肝と腎を整えて体質から改善することになります。症状がひどい方は、症状を直接改善する漢方薬も併用します。

 

・女性ホルモンの分泌減少による膣の乾燥、性欲減退、骨粗鬆症など

→肝腎を補い女性ホルモンの減少を和らげる【例:婦宝当帰膠、杞菊地黄丸、瀉火補腎丸、二至丸など】

・自律神経失調や神経症によるのぼせ、汗かき、動悸、不安感など

→肝気のめぐりを良くする【例:星火逍遥丸、加味逍遥散、抑肝散など】

・血行不良による頭痛、肩こり、血圧上昇、高脂血症など

→血液をサラサラにする【例:冠元顆粒、桂枝茯苓丸、芎帰調血飲第一加減など】

 

体質に合わせて漢方薬を服用すると、更年期症状が和らぎ、骨粗鬆症や動脈硬化の予防にも役立ちます。

 

 

5、日常生活の注意

・良く噛んで腹八分目:ゆっくり噛んで食べることで過食を防止して、腹八分目で肥満を予防します。

・玄米や雑穀を主食にした和食にする:日本人には和食が合っています。主食は未精白の穀物にしましょう!

・黒く粘る食材を多く食べる:黒ゴマ、黒豆、ヤマイモ、昆布などの黒くて粘る食材を多く食べましょう。

・ストレスをためずによく笑う:「笑う門には福来る」、つまらないことに腹を立てないようにしましょう。

・日光を浴びて、適度に運動する:日光を浴びて適度な運動をすると血行が良くなり、骨が丈夫になります。

 

 

6、男性更年期について

今までは更年期といえば女性の問題であり、男性は70才を越えても生殖能力はあるのだから更年期は無い、と安易に考えられてきました。しかし、近年女性と同様に男性にも男性ホルモンの減少により生殖能力が低下し、さらにホルモンの欠乏に由来する種々の症状が出現する更年期障害が存在していることが理解される様になりました。これに社会的・心理的なストレスが加わって症状が悪化したり、長引かせたりします。

男性ホルモンの減少は非常に穏やかで、40代~50代にかけ徐々に減少していきます。その結果、疲労感、睡眠障害、不安感、うつなどの更年期症状が緩やかに現れます。また、男性特有な症状としては、性欲減退やインポテンツが見られます。

男性ホルモンの低下も、漢方医学では『腎虚』と考えます。男性更年期はうつ傾向で冷える方が多いので、腎を温める補腎陽の処方がよく用いられます。また、男性ホルモンを活性化するアリ製剤やマカ製剤を、血行不良による動脈硬化の心配がある人は、活血薬を併用する場合があります。

男性更年期に専門病院ではED治療薬や抗うつ剤、症状がひどい場合にはテストステロン補充療法をしている方もいます。いずれも副作用の心配もありますので、出来るだけ体への負担を抑えたい方は、根本から体質を改善する漢方薬を選択肢に考えてみてはどうでしょう。

 

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