2025/05/17 |
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更年期と中途覚醒 |
更年期を迎えると、男女を問わず「ぐっすり眠れない」「夜中に何度も目が覚める」といった睡眠のお悩みが増えてきます。こうした睡眠の乱れは、ホルモンの変化だけでなく、仕事や家庭でのストレス、不安感など、さまざまな要因が重なって起こります。
なぜ夜中に目覚めるのか、ここでは更年期に起こりやすい中途覚醒について、その背景にある原因や、漢方ならではの対策についてご紹介します。
更年期を迎えると、体内と外部環境の変化が自律神経に影響を及ぼし、夜中に目が覚めやすくなります。
具体的には以下の流れで中途覚醒が誘発されます。
~更年期による睡眠障害が起きる流れ~
↓
ホルモン低下・外的要因
(性ホルモン減少/気候変動・ストレスなど)
↓
自律神経の乱れ
(交感神経優位/体温調節機能の不安定)
↓
┌─────────────┬───────────────┐
末梢経路 中枢経路 加齢による睡眠リズムの変化
(血行障害による冷え) (脳の異常興奮) (メラトニン分泌量↓など)
↓
中途覚醒(睡眠断片化)
その他にも、夜間頻尿、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群など、体の機能低下や病気が原因で、中途覚醒を起こす場合があります。どういった経路で、中途覚醒を起こしてるのか、それぞれの原因を知ることで、漢方によるアプローチも異なります。
中途覚醒は、夜中に不要な陽気が頭部に上昇することで、朝と勘違いして目覚めてしまう状態です。
とくに更年期を迎えると、寝るために必要な体内のエネルギー(腎精や気血)が不足してしまい、
「お風呂の空だき状態」のようになり、陽気が頭部に昇ることで、夜中に目覚めてしまうことがあります。
お風呂のお湯 ⇒ 体内のエネルギー(腎精や気血)
湯気 ⇒ 頭部に上がる陽気(目覚め)
不要な陽気を上げないため、肝火を抑え陽気を鎮める「平肝潜陽」の漢方薬や、興奮を鎮める「安神薬」
また体に必要な潤いを与えて火を鎮める「滋陰降火」の漢方薬などを用いることがあります。
寝ている間は、体の老廃物を除去したり、成長や発育のために沢山のエネルギーを消費します。
こういったエネルギーは通常、先天的に持つエネルギー(先天の精)や後天的に得られるエネルギー(後天の精)によってまかなわれていますが、更年期になると全体的にエネルギーが低下してくるので、朝まで睡眠が保てず、途中目覚めてしまうことがあります。(電池切れの状態)
漢方では、このような電池切れ(=腎虚)になると、不安や恐れといった感情が強くなると考えます。
そういった不安定な感情は、眠りを浅くし、少しの刺激で目覚める要因となるため、体内のエネルギーを補う「補腎薬」を用いたり、「胃腸機能の低下を防ぐ漢方薬」などを用いることで、更年期による急激なエネルギーの低下を防ぎます。
あきらかな体の機能低下や病気が原因で、中途覚醒が起きている場合は、そちらからアプローチする場合もあります。現在服用中のお薬があったり、ご病気がある場合は、必ずお知らせください。
更年期に起こる中途覚醒は、加齢だけでなくホルモンバランスの乱れやストレス、体内エネルギーの不足などが影響しています。漢方では、一人ひとりの体質や症状に合わせて身体のバランスを整え、自然で穏やかな眠りを目指します。
当店では、漢方に関する専門資格(国際中医専門員)を持つスタッフが、お客様に合わせたきめ細かなアドバイスを行っております。生活習慣の改善や、リラックスできる環境づくり、適度な運動などもあわせて取り入れることで、より良い睡眠環境づくりをサポートします。
睡眠のお悩みは、一人で抱え込まずお気軽にご相談ください。