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2024/11/27
長引く「咳喘息」と漢方薬について

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【咳喘息チェックリスト】
☑喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)がない
☑息切れや呼吸困難がない
☑咳が8週間以上続いている
☑特定の時期に咳が出る
☑アレルギーがある
☑少しの刺激ですぐ咳が出る
☑夜中や明け方に悪化する

 

咳喘息は、慢性的に咳が長引き続く疾患です。
多くの場合、痰を伴わない空咳です。1か月以上、長ければ1年以上繰り返し続くこともあります。

 

通常の喘息とは異なり、気管支の収縮による息切れやゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴はなく、激しい咳だけ出るのが特徴です。
咳喘息の原因は、普通の喘息と同様に気管支に炎症があることで、気道が過敏になって起きています。

 

風邪やアレルギーのあとも咳だけが残り続けたり、寒暖差、空気の乾燥、たばこ、運動、飲酒、会話、ストレス、ハウスダストなどがきっかけとなって咳喘息になる事があります。

 

また、気道が些細な刺激にたいしても過敏に反応してしまうため、西洋薬(気管支拡張薬や吸入ステロイド)などで一時的に咳が治まっても、風邪をひいたり、花粉などのアレルギーによって再発しやすく、約3割の人が喘息に移行すると言われています。
そのため、咳喘息の治療では、ただ咳を止めるだけでなく、気道粘膜も強化する必要があります。

 

長引く咳でお困りの方は、早めに体質改善を行いましょう。

 

 

 

咳喘息の漢方的考え方

漢方では、咳喘息を、五臓のうち呼吸と関係の深い「肺」の機能が低下した状態と捉えます。

 

これは、漢方における「肺」の機能に、呼吸を整えて空気中から必要な成分(酸素など)を吸入し、体内の不要物(二酸化炭素など)を排出する働きだけでなく、皮膚粘膜を潤したり、外の刺激から保護するといった働きがあるからです。

 

そのため「肺」の機能が低下してしまうと、気道が敏感になり、呼吸がうまく出来ず、咳が出てしまうのです。

 

咳喘息では、この肺の機能低下の原因は体質によって異なるため、それぞれご紹介します。

 

 

(1)肺陰虚(はいいんきょ)

肺の潤いが不足している状態です。
気道が乾燥し敏感になるため、たばこの煙やハウスダストなどの刺激に反応して咳が出たり、痰は少なく粘っこい、乾いた咳が長く続くといった特徴があります。

この場合、潤いを補う「補陰」の働きを持つ漢方薬(麦門冬湯、滋陰降火湯など)を用います。

 

 

(2)肺気逆(はいきぎゃく)

肺の「気」の循環が乱れ、下降するはずの気が上に逆流して咳などの不調が出てしまう状態です。

長期的なストレス、気温など環境の急激な変化によって、出始めると止まらない咳や喉のつかえ感などが起きることがあります。

漢方薬では、逆流した気を下ろす働きがある平喘顆粒や、気の巡りを整える柴朴湯などを用います。

 

 

(3)痰湿(たんしつ)

脾胃の働きが弱る事で体に余分な水分が溜まり、痰となって肺の働きを邪魔している状態です。

このタイプの咳では、元々胃腸が弱かったり、病後や飲食の不摂生等で胃腸の働きが低下している事により痰が出ていいます。

まずは胃腸の働きを整え、痰湿をとり除く温胆湯や半夏厚朴湯などが用いられます。

 

 

(4)腎虚(じんきょ)

漢方において、空気を肺に取り込むには「腎」の「納気」の働きも必要になります。

そのため、腎の納気の働きが弱ると気(エネルギー)がうまく体内に収まらなくなるため、間接的に肺の働きも低下して呼吸が浅くなり、慢性的な咳が出やすくなります

この場合、腎の納気を助け、肺の機能を高める八仙丸や双料参茸丸などが用いられます。

 

 

 

 まとめ

このように、咳喘息のような長引く咳症状は、「肺」の機能を中心に全身のバランスが崩れている場合がほとんどです。

 

漢方薬による体質改善を行うには、体質に合った漢方薬を選ぶのはもちろん、生活習慣や食事の見直し、ストレスなどの対策を行う事も大切です。

 

まずは自分の体質を見極める必要があるため、自己判断はせず漢方薬局等にご相談ください。

 

 

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