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2025/08/26
百日咳の漢方対策

■百日咳が続く背景

今年は百日咳の患者が、全国的に拡大していますね、、、

広島県内も、感染警報がまだ続いており、10代を中心に大人も感染が広まっています。

 

【広島県百日咳患者報告者数:H30~R7】

スクリーンショット (41)

特に今年は酷暑による影響もあり、免疫の低下から、咳が長引くケースが増えています。

 

こういった感染拡大の背景には、、、

✅酷暑の影響:暑さにより免疫機能が低下(発汗による体液不足、自律神経の乱れなど)

✅集団免疫の低下:コロナ禍で人と接触する機会が減り、集団免疫を得るタイミングが減少

✅ワクチン効果の減弱:ワクチンの効果がきれて感染しやすくなっている

✅家庭内感染の増加:感染していることに気づかず、診断されないまま咳が長引き、家庭内感染が増加

✅抗生剤の耐性問題:百日咳菌に効果があるとされる「抗生剤」の耐性菌問題

 

などの他、屋内にいる時間の増加、マスク着用率の減少、エアコンによる空気の乾燥、なども 長引く咳症状を後押ししているようです。

 

 

■漢方の考え

~『鸶咳:ろうがい』の由来~

漢方では、百日咳を『サギの鳴き声』に似ていることから『鸶咳:ろうがい』と呼ぶことがあります。

これは、激しく渇いた咳発作のときの呼吸音や咳のリズムが、サギの鳴き声のように聞こえることが由来とされています。また『鷺咳』以外に『突発咳』『流行咳』と呼ばれることもあります。

 

~発症の病因~

漢方では、百日咳の病因を『感染症』と『痰の蓄積』と考えます。

 

感染症(外感疫邪)

百日咳のような感染力の強い細菌が生み出す毒素のことを『疫毒:えきどく』と呼びます。

とくに百日咳菌が産生する特定の毒素は、気道(肺系)の繊毛を傷つけるため、痙攣性の咳発作が起こりやすくなります。

 

痰の蓄積(内傷痰湿)

細菌が体内に侵入すると、臓器にダメージを与えます。とくに呼吸器(肺)と消化器(脾)は、直接細菌と触れる機会が多いためダメージを受けやすく、どちらも『水の巡り』と関わりがあります。水の巡りが悪くなると、余剰な水分『痰湿:たんしつ』を生じて、それが気の流れを塞ぎ、その結果、気が正常な方向とは逆の向きに突き上げてしまうことで、咳発作が起こります。

 

 

■長引く百日咳と漢方対策

百日咳は、以下の図のように、時間とともに症状が変化していきます。

スクリーンショット (55)

初期の段階では、病院の治療(抗生剤など)が主になりますが、痙咳期・回復期では、漢方を選択するケースが増えてきます。その理由として挙げられるのが『免疫機能の回復』。

 

漢方は段階的な対応が基本ですが、今年のような酷暑が続く場合は、体力・陰液の消耗を見越して、早い段階から補気養陰を強化することで、『免疫の回復』と『薬の効果の底上げ』が期待できます。

 

 

①潜伏期~カタル期:病邪を取り除くことを優先

身体の中に菌が残っている状態では、体力や免疫を回復しようとしても、そのエネルギーは菌の排除に回されてしまいます。そのため、この時期は西洋薬(抗生剤)を主に服用しつつ、原因となる病原体を体外へ押し出すための『解表薬』や、症状が進行しすぎないよう『鎮咳薬』などの漢方薬をサポート的に用います。

 

症状:咳、鼻水、くしゃみ、倦怠感など(全体的に症状は軽め)

 

②痙咳期:咳発作を鎮め肺熱をとる

激しい咳発作が特徴的な時期。漢方では『痰熱(たんねつ)』や『邪熱(じゃねつ)』が肺にこもり、それらが気の流れを妨げて、咳発作が起こります。この時期は、菌の活動によって生じる強い熱と炎症を鎮める『清熱解毒薬』を中心に、痰を除く『化痰』や気の逆流を鎮める『降気』、そして消耗した『気陰』を補う方剤を組み合わせます。

 

症状:発作性の咳、笛声、嘔吐など(咳をしても、痰を外に出すことが難しい状態)

 

③回復期:免疫を整え体力を回復

百日咳のような長期間続く咳の場合、咳だけ鎮めようとしても、治まらない場合があります。その背景には、激しい咳発作によって、免疫が低下していることも少なくありません。また繰り返す咳発作で、気道の粘膜が過敏に反応しやすくなっている場合もあります。この段階では、『補気養陰』の漢方薬を用いて体力と免疫力を回復し、再発予防を目指します。

 

症状:咳は軽くなるが長引く、再発を繰り返す(風邪や乾燥で粘膜の刺激を受けやすい状態)

 

 

■よくある質問

Q:大人でも百日咳になりますか?
A:なることがあります。 主な流行は学齢期ですが、近年は成人の場合でも、ワクチン効果の減衰、酷暑の影響などから、免疫が過度に低下してしまい、咳が長引く方が増えています。

 

Q:抗菌薬と漢方は一緒に併用できますか?
A:併用できます。咳が強い時期〜回復期に漢方で体力と潤いを補うと相性が良いです。

 

Q:抗菌薬で熱は下がったのに、咳だけ続きます。
A:百日咳やマイコプラズマ肺炎は、解熱後も咳が残りやすい疾患です。咳を鎮めつつ、潤いと体力を戻すケアで楽になります。

 

Q:どれくらいの期間、漢方薬を飲まないといけない?
A:症状の段階と体質で変わりますが、目安としては以下の通り
・初期:1〜2週間
・咳が強い時期:2〜4週間
・回復期:4〜8週間
・体質改善:8週間~

 

Q:どんな人に漢方がおすすめ?
A:以下のようなお悩みを抱えている方におすすめします。

✅病院の治療をしたが、咳が鎮まらない
✅解熱後も咳・倦怠感が続く
✅薬の副作用が気になるので、 自分に合ったケアをしたい
✅持病があり、体質改善をしたい
✅症状をぶり返したくない
✅薬に敏感なので、自然なもので体調を整えたい

 

長引く咳症状でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

 

 

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