夏になると、なぜかイライラしやすくなったり、寝つきが悪くなったり、不安な気持ちになることはありませんか?
実はこういった夏の心身の不調は、中医学では「心(しん)」のトラブルとして捉えます。

夏と「心(しん)」の深い関係
中医学において「心」は、血液を全身に巡らせる役割だけでなく、精神活動や意識を司る重要な働きを担っています。
そして夏は、「五行(ごぎょう)」でいうと“火”の季節。この“火”は「心」と深くつながっており、季節のエネルギー(陽気)が盛んになる夏は、その影響を強く受けやすくなります。
「心」は本来、穏やかで落ち着いている状態を好む臓器ですが、夏の暑さや湿気が体内に侵入して「心」に熱がこもると、「心」が過剰に興奮状態になってしまいます。例えるなら、常にエンジンが全開で空回りしているような状態です。
その結果、精神が安定しなくなり、感情が高ぶってイライラしたり、夜になっても気持ちが落ち着かずになかなか寝つけない、胸がドキドキする……といった不調が現れやすくなります。
また、中医学では汗は「心の液」と言われます。大量に汗をかくことで気血を消耗し、「心」がより一層疲れやすくなるのです。 つまり、夏は「心」にとって、熱によるダメージと消耗の両面で負担がかかりやすい季節といえるのです。
「心」のトラブルと上手につきあう夏の過ごし方
◎ 1. 睡眠環境を整える
夜更かしや睡眠不足は「心」の負担を増幅させます。寝入りを良くするために、就寝の約2時間前にはぬるめのお湯にゆっくり浸かって深部体温が下がりやすくなるようにしたり、寝室のエアコンを除湿や27〜28℃に設定して快適な室温を保つようにしましょう。
◎ 2. 苦味と旬の食材で「心」を養う
ゴーヤやセロリ、春菊などの「苦味」は熱を冷ます働きがあります。また、トマトや冬瓜といった旬の夏野菜も、体にこもった熱を和らげるのにおすすめです。逆に、香辛料やアルコールなどの刺激物は、控えめにしましょう。
◎ 3. 冷たいものの摂りすぎに注意
暑いと冷たい飲み物やアイスに手が伸びますが、摂りすぎは胃腸の負担となり、夏バテを招きやすくなります。水分補給は常温の水や麦茶を選び、一気に飲まず少しずつこまめに摂るのがポイントです。胃腸を冷やさないことが夏を健やかに過ごす秘訣です。
◎ 4. 早朝の適度な運動で熱を逃がす
緊張やストレスで呼吸が浅くなると「気」が滞ります。ゆっくり深呼吸をしたり、散歩などの適度な運動で巡りを良くしましょう。ただし、激しい運動はかえって熱を生むためNG。熱を発散させるなら、涼しい早朝に行うのが一番です。
◎ 5. 体質に合わせた漢方でケア
もし、イライラや動悸などが強く続く場合は、漢方の力を借りて「心」のバランスを整えることも一つの方法です。今の体調が気になる方は、ぜひ一度店頭でご相談ください。お客様の体質に合わせた漢方をご提案いたします。
「こころ」が疲れやすい今こそ、自分を整えるチャンス
夏は陽気が最も高まり、自然も体も活動的になる季節です。
ですがその分、体だけでなく心にも大きな負担が加わります。 「イライラするのは性格のせい」「なかなか寝つけないのは年のせい」と決めつけず、体と心の声に耳を傾けてみませんか?
不調は、体からの「バランスが崩れているよ」というサインです。
ご自身の体質に合った養生法やケアを取り入れて、夏を心地よく過ごしましょう。
