| 2025/10/21 |
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| 寒暖差アレルギー・寒暖差疲労 ~漢方で対策~ |
ここでは、『寒暖差アレルギー・寒暖差疲労』に関する疑問や、『寒暖差の不調に負けない体づくり』について、漢方でどんなことをするのか、Q&A形式で解説します。
Q:『寒暖差疲労』と『自律神経』はどんな関係があるの?
A:『寒暖差疲労』は、体温を一定に保とうと『自律神経』が過剰に働き過ぎて、疲労感、だるさ、めまい、頭痛、肩こり、などの不調が起こる状態を言います。自律神経は、交感神経と副交感神経の2種類があり、無意識に自律的に体の機能を維持するため働いています(下図参照)。 よく『自律神経=メンタル』と結びづけられがちですが、それだけではありません。体温調整、内臓の働き、血圧(血管)、心拍、免疫反応、など、生きていく上で必要な働き全般に関わっています。寒暖差疲労の現れ方が、人によって異なるのは、自律神経が体の様々な部位に関わっていること、そして個々の体質が深く関係しています。

Q:寒暖差の不調は、『自律神経の乱れ』だけが原因なの?
A:体質、生活習慣、環境など、様々な要因が組み合わさることで起こると考えられています。
寒暖差の不調は、『自律神経を経由』して起こりますが、そのきっかけには、体質や生活習慣、環境など様々な要因が関係します。どんなに生活習慣を改善しても、加齢(体質)などで心肺機能が落ちていたり、血管が固くなれば、血行不良から冷えの影響を受けやすくなります。また運動不足(生活習慣)で筋肉量が落ちていたり、汗を上手にかく習慣がなければ、体内に熱がこもりやすくなる場合もあります。体質・生活習慣、環境は、『自律神経を乱すきっかけ』になりますが、そのもの自体が、原因になることもあります。
※漢方では、「時」「地」「人」の三つの要素に応じて、治療や養生を考えます。
:三因制宜(さんいんせいぎ)
Q:自律神経が原因と言われているのに、なぜ抗アレルギー薬が処方されるの?
A:寒暖差の不調の中の一つ『寒暖差アレルギー』の症状を抑える目的で、抗アレルギー薬が用いられます。
A:西洋薬の場合、特定の症状ごとに用いる薬はありますが、不調の根本から治す薬はありません。
~根本的な治療薬がない理由(西洋医学的な観点)~
・対症療法が中心
西洋薬の場合、自律神経の乱れに対して使われる薬は、症状ごとにアプローチする「対症療法」が中心です。これらの薬は、自律神経の乱れそのものを根本的に治すのではなく、つらい症状を一時的に抑えることで、心身の負担を軽減し、結果的に自律神経のバランスが回復するのを手助けする役割を果たします。しかし、薬を中止すれば症状が再発する可能性もあります。
・自律神経の複雑性
自律神経は、心臓や血管、消化器、呼吸器など、体中のあらゆる臓器の機能を調整しています。そのため、特定の薬で全体のバランスを理想的に制御することは非常に困難で、副作用のリスクも高くなります。
・原因が多岐にわたる
先ほど述べたとおり、寒暖差の不調は、体質・生活習慣・環境など要因は多岐にわたるため、治療法を絞ることが難しい問題があります。
Q:寒暖差に負けない体づくりとして、具体的に何をするの?
A:当店では、漢方による体質改善をおすすめしています。
1.漢方をおすすめする理由
寒暖差に強い体を作るには、症状を抑えるだけでなく、不調が起こる体質そのものにアプローチすることが大切です。
・根本的な土台へのアプローチ
西洋医学の対症療法に対し、漢方では自律神経の負担を高めている冷えや血行不良などの「体質そのもの」を改善し、不調が起こりにくい体づくりをサポートします。
・自分に合った対処法
漢方には、個人の体質や症状、季節(三因制宜)に合わせて方剤や養生を考える強みがあり、より自分自身に合ったアプローチを行うことができます。
2.漢方で行う内容
漢方薬は、その人の体質全体を整えることで、体そのものが持つ回復力や調整能力を高めます。寒暖差の不調に対しては、体のベースである「気・血・水」のバランスを整え、特に体温調整の要となる「衛気(えき)」を養うことを重視します。
衛気は、呼吸や食べ物から作られ、主に外敵の侵入を防ぐバリア機能と、体温を調節し全身を温める働きをします。
・気(エネルギー)の調整:胃腸や皮膚・粘膜の働きを整え、衛気の生成をサポートします。
・血(栄養)の調整: 補血や血流改善により、冷えにくい体づくりをサポートします。
・水(体液)の調整:余剰な水分をなくし、水分代謝を良くすることで、必要な箇所へ潤いを送り届けます。
Q:寒暖差に弱い人は、五臓の「腎」が弱いって本当?
A:はい。漢方では、体温を一定に保つ力が弱いのは「腎虚:じんきょ」が潜んでいると考えます。
恒常性(体温を一定に保つ力)を維持するには、以下の2つが深く関わっています。
・生命活動の根源となる、体を温めるエネルギー(生命の光:腎気 or 腎陽)
・生命活動の根源となる、土台(ろうそく:腎精)
腎の力が弱まると、、、
腎陽虚(火の衰え): 体を温める力が弱く、冷えやすく、基礎代謝が低下します。
腎陰虚(水の不足): 体の熱を冷ます潤いが不足し、自律神経が過敏になり、不眠やほてりが起こります。
腎虚は加齢だけでなく、過労や慢性的なストレスでも若くして進むため、「隠れた腎虚」が寒暖差の不調の根本的な原因になっていることが多くみられます。
Q:寒暖差に負けないために、特に避けるべき「食べ物や飲み物」は何ですか?
A:体を冷やし、水分の偏りを生む「生冷飲食」と過剰な水分摂取を避けましょう。
漢方では、体温調整を担う胃腸(脾)を冷やさないことが鉄則です。特に以下の摂取を控えることで、恒常性(体温を一定に保つ力)の維持に役立ちます。
生冷飲食の過剰摂取:
刺身や生野菜(特に冬場)、冷たい飲み物、アイスクリームなど、胃腸の働きを直接的に弱めるものは極力控えましょう。胃腸の機能が低下すると、衛気の生成が減り、寒暖差に弱くなります。
過剰な水分の摂取:
体内の水分代謝が追いつかなくなり、水湿(痰飲)となって体内に停滞し、鼻水やめまいの原因になります。特に胃腸虚弱の方は、水分代謝が悪くなりがちなので、喉の渇きを感じた分だけ、常温か温かい飲み物を少しずつ飲むよう心がけましょう。
Q:漢方の費用はどれくらいかかるの?またどれくらい飲まないといけないの?
A:漢方薬の種類や体質によって異なりますが、1日300円〜450円を目安にしています。まずは体質変化のサインを見極めるために1〜2週間服用していただき、その後ご様子をお伺いします。
寒暖差の不調は、体の弱い部分を強くする『体質改善のチャンス』です。
気温差で体調を崩しやすい方は、お気軽にご相談ください。