2025/06/21 |
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「漢方薬が効かない」と感じる方へ |
漢方薬を服用されている方の中には、「思ったほど効果がない」「なんとなく続けているけれど、よくなっている実感がない」といった声をお聞きすることがあります。
実はその背景には、漢方薬の選択や生活習慣の乱れ(養生不足)、体の消耗の度合い、そして胃腸の状態といった、さまざまな要因が関係しています。
今回は「なぜ漢方薬が効かないのか?」その理由と、改善のためにできることをわかりやすくお伝えします。
漢方では、一人ひとりの体質や状態を「証(しょう)」と呼び、それに合わせた処方を選択するのが基本です。たとえ同じ症状でも、体質が違えば使う薬も変わります。
たとえば、「冷えからくる頭痛」と「ストレスによる頭痛」では使う漢方薬はまったく異なります。市販薬やインターネットの情報だけで選んでしまうと、自分の体に合っていない薬を飲み続けてしまい、胃もたれ・食欲不振・下痢などの胃腸症状や、むくみ・動悸などの副作用が現れることがあります。
→対策
・漢方専門の相談を受けて、体質や症状に合った処方をしてもらう
・体調の変化に応じて処方を見直す
漢方には「三分治(ち) 、七分養(よう)」という言葉があります。薬による治療が3割、日々の生活=養生が7割という意味です。
どれだけ良い薬を飲んでも、睡眠不足や偏った食事、過労やストレスなどで体が消耗していては、漢方薬の効果も十分に発揮されません。
→対策
・夜ふかしはせず、早く寝る
・体温より冷たいもの・肥甘厚味(油っこい、甘い、味の濃いもののこと) は控え、腹八分目に
・軽い運動やストレッチで血流を良くする
・深呼吸や入浴でリラックスする時間をつくる
※体質や天候、季節によっても養生法を変えた方が良い場合があります。
慢性の不調がある方や、病気・出産・過労の後など、体が大きく消耗しているときは、回復するのに時間がかかります。 このような場合、「補う力」より「消耗」が勝っている状態なので、数日〜数週間の漢方薬だけでは十分な効果が出にくいことがあります。
→対策
・最低でも1~3か月程度、しっかり継続して服用することが大切です
・効果がすぐに出なくても、じわじわと体の土台が整ってきます
・生活習慣の見直しも行い、自身に合った養生法を一緒に確認していきましょう
漢方薬は「胃腸で吸収されて」初めて効果を発揮します。 もし胃腸が弱っていたり、腸内環境が乱れていたりすると、せっかくの漢方薬も体にうまく取り込まれません。
また、食べ物やストレス、抗生剤の影響などで腸内環境が乱れている人も増えています。
→対策
・まずは胃腸の働きを整える漢方薬から始める
・腸活として、発酵食品(味噌・ぬか漬け・納豆)や食物繊維を意識的にとる
・冷たい飲食物を控え、体を内側から温めるようにする
「漢方が効かない」と感じたとき、それは「今の体の状態を見直すタイミング」かもしれません。
・体質に合った処方かどうか?
・生活習慣が乱れていないか?
・胃腸が弱っていないか?
・漢方薬をきちんと飲めているか?(←じつは飲み忘れが多い場合も(汗))
ひとつずつ見直していくことで、漢方薬の力をしっかりと引き出すことができます。
小さな違和感や疑問を抱えたままにせず、どうぞお気軽にご相談ください。