2025/04/16 |
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HSPと半夏厚朴湯 |
病院からの処方だけでなく、市販でも販売されている半夏厚朴湯。
不安神経症や神経性胃炎などでよく用いられるお薬ですが、最近は「HSPにも良いらしい」など
ネットや口コミで広がっているみたいですね。
ただその反面、
「良いと思って飲んでみたけど、効果はイマイチ…」
「半夏厚朴湯って、即効性があるんじゃなかったの?」
「なんだか自分には合わなかった…」 等
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期待の裏返しのせいか、効果に不満の声も挙がっているようです。
ここでは、半夏厚朴湯が向いているタイプや、HSPに漢方は有効なのか?など、「HSPと半夏厚朴湯」に関する内容について解説します。
半夏厚朴湯は、半夏、厚朴、茯苓、生姜、紫蘇葉の5つの生薬から構成される漢方薬です。
主に「気滞」と呼ばれる気の巡りが悪い状態を改善し、不安や緊張を緩和したり、喉の詰まり(梅核気)やつわり等を和らげる効果があります。
方剤の特性は、全体的に「乾燥させる生薬」が多いため、体内の潤い不足「陰虚」や、エネルギー不足「気虚」が進行している方には、向いていません。
半夏厚朴湯が向いているタイプとしては、、、
✅体力が中等度以下の人→ある程度、元気や食欲があるタイプ
✅甘い物や味の濃い物を取りすぎる→「痰湿:たんしつ」が溜まっているタイプ
✅ストレス・神経過敏なタイプ
簡単に言うと、体力が比較的ある状態(実証タイプ)で、ストレスや神経過敏がある人に向いている漢方薬と言えます。
逆に、体力が極端に低下していたり、病中病後など(虚証タイプ)は、効果の実感が感じづらい場合があります。
また即効性については、体の状態により個人差があり、当店の事例では、体力が比較的ある方で、喉の違和感を訴える方が、1か月以内に変化を感じられるケースがありました。
結論から、HSPの方が感じやすい「心身の不調」に、漢方は有効な手段の一つです。
~HSPの方に多い心身の不調:例~
●睡眠の質の低下 (入眠困難、早朝覚醒など)
睡眠の質が低下する理由には、様々な要因がありますが、寝つきが悪い場合だと、寝るための体力が不足して、逆に眠ることができない、また、寝ても睡眠が浅くなることがあります。そのような場合は、「補血薬」を用いたり、高ぶりすぎた神経を鎮めるため「安神薬」を用いる場合があります。
●胃腸のトラブル (過敏性腸症候群、機能性ディスペプシアなど)
神経が過剰に働きすぎると、慢性的な下痢や便秘、またその両方を繰り返すことがあります。
漢方では、胃腸の働きを整える「健脾薬」や、余剰な水分を除く「理気化痰薬」などを用いることで、胃腸の働きを正常に整えてくれます。
●うつ、不安、パニック発作など
HSPの方の多くは、普段から神経が過敏なため、気(エネルギー)や血(栄養)が消耗しやすっかたり、先天的に持つ生命エネルギー(腎精)が不足している方がいます。
それらの要因が重なると、自律神経のバランスが崩れ、様々なメンタルの不調を起こすことがあります。
漢方的には、このような状態は気・血・精の不足により起こると考えられており、気血精そのものを補ったり、巡りを良くする漢方薬を用いてケアをする場合があります。
HSP(Highly Sensitive Person)は、生まれ持った感受性の高さや繊細さを特徴とする気質です。
こういった気質は、少しの刺激でも過剰に感じやすく、傷つきやすいものですが、漢方薬や養生をとり入れることで、心身が健康でいられる状態(漢方では中庸:ちゅうようと呼びます)を広げることができます。
心身の健康には波がありますが、中庸が広がれば、それだけ健康でいられる期間は長くなります。
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HSPの方にとって、日常生活はさまざまな刺激にあふれ、時に生きづらさを感じることもあるでしょう。そのような環境の中で、心身のバランスを整える手段として漢方薬を取り入れたいと考えるのは自然なことです。
たとえば「半夏厚朴湯」は、喉のつかえ感や不安感などに効果が期待される漢方薬として知られています。しかし、インターネットや口コミで得た情報が、必ずしもご自身の体質や症状に合うとは限りません。漢方薬は、個々の体質や状態に合わせて選ぶことが大切です。
当店では、漢方の専門知識を持つスタッフ(国際中医専門員)が、お一人おひとりの体質や症状に合わせた漢方薬や養生法をご提案します。HSPによる心身の不調でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。