2025/03/24 |
---|
天気痛(気象病)に、市販の痛み止めは効きづらい!? |
近年、天候の変化に伴い、頭痛・めまい・倦怠感、といった様々な不調を訴える方が増えています。こうした症状は、一般に「気象病」と総称され、その中でも、特に痛みを中心に現れる症状を「天気痛」と呼びます。
天気痛は、様々な条件が重なることで発症すると考えられており、単一の痛み止めだけでは治まらないことがあります。
ここでは、天気痛を含め『痛み止めが効きづらいタイプ』や『天気痛に漢方が効果があるの?』等について考えます。
天気痛(気象病)が起こる機序については、完全には解明されてはいません。
ただ原因の一つとして、急激な気象変化が、内耳に影響を与え、自律神経のバランスを乱すことで起こると考えられています。
内耳には平衡感覚を司るセンサー(三半規管)が存在しています。
急激な気象変化で、内耳の血流やリンパ液の流れが悪くなると、平衡感覚が悪くなり、自律神経が乱れてしまいます。
自律神経は、血流やリンパの流れ、呼吸、心臓の拍動など、生命活動を維持するために『人が無意識に調整している神経』のことを呼びます。
気象の変化に体がついていかなくなると、脳はこの異常事態を察知して、血液やリンパ液を内耳や脳へ送り込もうと、自律神経へ過剰に命令をします。
すると一斉に、頭部に流れ込んでしまい、脳内の血管や神経が圧迫され、頭痛やめまい、さらには全身の不調を起こす原因となることがあります。
天気痛のきっかけに、耳が関係しているなんて、なんだか不思議ですよね。。。
天気痛の発症には、『内耳のセンサー』と『自律神経の働き』が関与しています。
そのため、打撲などが原因で起こる痛みとは、発生機序が異なります。
市販の痛み止めで、全く効果がないわけではありませんが、『痛みのタイプ』によって、効果の実感が弱いと感じる理由は、痛みが起こる機序が異なることが関係します。
では、どのような『痛みのタイプ』が、効きづらいと感じるのでしょうか?
例)
・天気痛(古傷の痛みも含む)
・片頭痛(天気痛の一部として捉えらえている面も)
・リウマチなどの膠原病が原因の痛み
・更年期障害が原因の関節痛
・ストレスが原因で起こる痛み
このように、痛みのタイプも様々あり、それぞれ根本の原因が何かによって、対応も異なります。
結論から言うと、漢方は天気痛に効果があります。
天気痛は…
✅天気という外的要因(外感六淫:風、寒、暑、湿、燥、火の邪気)
✅体の内側の問題(脾虚により痰湿が生じている、血虚により瘀血が生じている、ストレスにより気血水の流れが悪くなっている など)
↑この2つの要素が絡み合って起こります。
漢方では、天気という気象変化だけで、痛みが起こるとは考えません。
繰り返し痛みが起こる背景には、体の内側に問題があると考えます。
そんなことはない!
『葛根湯』だけでも痛みが何となく落ち着いたよ!
なんて話を聞くことがありますが… そもそも葛根湯は『辛温解表薬』といって、体を温めることで風寒の邪気を追い出すお薬です。表面的な治療(標治:ひょうち)として用いられ、肩こりにも用いることがあります。
一時的に、体温が上昇し、肩まわりの血行が良くなるため、痛みが緩和されたように感じますが、『それは痛みがある時に、痛み止めを飲む』という西洋医学的な痛み止めの飲み方と一緒で、効果がなくなると、また痛みは再発します。
本来、漢方を飲む目的は、『環境が変わっても、それに対応できる体にする』ことにあります。
漢方では、『中庸:ちゅうよう』とも言われ、体のバランスの崩れた箇所を、『健常な状態』に戻すことを目標としています。
そこで大切なのが、体の内側の問題を解決する『本治:ほんち』です。
因みに『本治』の方法は、人により異なります。
さきほど『痛み止めが効きづらいタイプ』でも触れましたが、リウマチや甲状腺機能低下症、更年期障害など、それぞれ痛み以外にも様々な背景があるため、対策も異なります。
『個々の体質に合った漢方薬を選ぶ』ことができるのも、選ばれる理由の一つと言えるでしょう。
このように漢方での治療は、今起きている症状を抑える『標治:ひょうち』と、痛みが起きる背景から見直す『本治:ほんち』の両方からアプローチすることで、『繰り返し起こる天気痛の改善』を目指します。
天気痛にお悩みの方の多くは、まず「今の痛みを何とかしたい」と考えられます。
確かに、今起きている症状を抑えなければいけないので、そこを改善することは、最優先にしなければいけません。そういった意味では、『標治=表面的な治療』は必ず行います。
ただ店頭に来られる方は、、、
『痛み止めを何度も繰り返し服用した経験がある』
『加齢とともにひどくなった』
『冷えや生理痛がひどい』
『過労・胃腸虚弱がある』
など、すでに改善へのアプローチを色々と試していたり、体の内側に問題があるケースも少なくありません。
『標治』だけで良いのか、『標本同治:ひょうほんどうち』と言って、『本治』も同時に行う必要があるのか? 自分の今の体の状態を知ることは、漢方の効果にも大きく影響します。
✅夏場の炎天下から、急にエアコンの効いた空間に入ると、なんだか調子が悪い…
✅スーパーの生鮮食品のコーナーは、冷たすぎて気分が悪くなる…
✅雨の前日は、必ず頭が痛くなる… or 古傷が痛む… 等々
↑心当たりのある方は、『体を健康に維持する力が足りない』可能性があります。
何が原因で痛みが起こるのか?
自分だけではわからない痛みの原因について、漢方の専門知識をもつ国際中医専門員が
一人ひとりの体質や症状を詳しく問診し、ご自身に合うオーダーメイドの漢方薬をお選びします。
『痛み止めが効きづらい』、『もしかして天気痛かも⁉』など気になる方は、お気軽にご相談ください。