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2024/10/31
帯状疱疹後神経痛と漢方の考え方

帯状疱疹後神経痛は、難治性の神経障害性疼痛の一つです。

 

帯状疱疹にかかった方の5~20%に合併する可能性があり、好発年齢は50代以降に多く見られます。

 

初めは、皮膚表面の痛みや前駆痛が現れますが、時間がたつと帯状疱疹ウィルスが、皮膚だけでなく

 

神経繊維を傷つけ 『帯状疱疹後神経痛』 が起こると考えられています。

 

また寛解には3ヶ月~1年以上かかることもあるので、早めの対処が大切です。

 

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 ■痛みの初期と慢性期

痛みの初期と慢性期 は、発症のしくみが異なります。

 

初期は、病気・ストレス・過労などで免疫が低下し、体の中に眠っていてた帯状疱疹ウィルスが活性化して、前駆痛や皮疹による痛みが起こります。そのため、この時期は『ウィルスの増殖』を抑えることが重要となります。

 

慢性期は、ウィルスにより傷つけられた『神経繊維を修復』することで、長引く神経痛を鎮めます。

なお、この時期はウィルスの活性は落ち着いているので、抗ウィルス薬などは用いません。

また、痛みを抑制する経路の障害で、自発痛や痛覚過敏などが起こるとされています。

 

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■漢方の考え

漢方では、帯状疱疹後神経痛は、以下のような状態と考えます。

 

☑ 加齢・病気・過労・ストレスなどで、気血が不足している

加齢、病気、過労、ストレスなどがあると、細胞の老化や組織の炎症などが起こるため

修復するために、沢山の気血(エネルギーや栄養)を消耗します。

また気血が不足すると、血流などが悪くなり、そこに炎症物質などが溜まって痛みが

起こります。気血の巡りを良くすると共に、不足した気血を補うことが重要です。

 

 

☑ 免疫に関わる『五臓の働き』が低下している

帯状疱疹から神経痛へ移行する要因の一つに『免疫の低下』があります。

漢方では、免疫は『五臓の働き』で保たれており、とくに『脾・肺・腎』は重要な役割があります。

・腎 ⇒ 免疫の調整

・肺 ⇒ 皮膚粘膜の強化

・脾 ⇒ 栄養の吸収(傷ついた神経繊維を修復する材料を得る)

↑これらは全て『水分代謝』とも関係があり、余剰な水分を生み出さないようにする働きがあります。

 

 

☑ 『湿熱:しつねつ』 の存在

疱疹は、漢方では『余剰な水分に熱が加わったもの:湿熱』 と考えられています。

湿熱は、帯状疱疹の場合、急性期に見られることが多いため、その時期はとくに

水分代謝を高めて清熱し、湿熱を追い出すことを意識します。

※慢性的な痛みにも、湿の存在が絡んでいることがあります。

 

 

☑ 気候などの外的要因

寒さや暑さなどの気候変化も、神経痛を悪化させる要因になります。

漢方では、外的要因を『六淫:ろくいん』と呼び、風邪、寒邪、暑邪、湿邪、燥邪、火邪(熱)に

分けて対応します。帯状疱疹になる方は、免疫が低下している状態なので、外部からの刺激を受け

やすい傾向があります。季節ごとに六淫の存在も意識し、方剤を使い分けると効果的です。

 

 

<代表方剤例>

・冠元顆粒

・シベリア霊芝

・独歩顆粒

・イーパオ

・温胆湯

・越脾加朮湯

・五積散

・当帰四逆加呉茱萸生姜湯

疎経活血湯

・柴胡製剤

・地竜製剤

・芍薬製剤

 

 

 

■こんな方は要注意

☑50代以降の方
☑帯状疱疹の初期症状が重度だった
☑病中病後の方(糖尿病など)
☑体力が過度に低下している
☑代謝が悪い(むくみ、肥満、運動習慣がない)
☑ストレスの影響を受けやすい
☑血行不良や冷え性がある

帯状疱疹後神経痛は、痛み止めが効きにくいため、何年も苦しんでいる方がおられます。

様々な治療を行なったが、効果が不十分に感じる方は、お気軽にご相談ください。

 

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