2024/05/28 |
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多血症なのに貧血 |
多血症は、何らかの原因で、赤血球が過剰に増える、または見かけ上増える 病気のことを呼びます。
逆に貧血は、血液が不足することで、めまい・立ちくらみ・頭痛・倦怠感 等といった症状が現れます。
一見 真逆のように感じますが、実は『現れる症状は同じ』 です。
多血症は、赤血球が増えすぎることで、血液の粘度が上がり、体中の血液循環が悪くなることで、貧血と同じような症状が現れます。貧血と思って、受診したら『多血症』だったという話も少なくありません。
『検査では血が濃いって言われたんですが、、、』
『多血症と診断されたんですが、、、』
↑このようなお悩みに、漢方でどのようなことができるのか?
ここでは、多血症が起こる原因から解説していきます。
①脱水、肥満、慢性ストレス、糖尿病 など
血液は増えていないのに、血中の水分が不足することで 見かけ上 赤血球が多くみえることがあります。
相対的赤血球増加症とも呼ばれ、遠心分離機による検査だけでは、全体の血液量など、わかりづらい部分があります。正確に調べるには、他の臓器や骨髄、血中の他の成分量など、様々な角度から調べる必要があります。
②心臓や肺などの疾患
心臓や肺の働きが悪くなると、酸素を運搬する赤血球の量が減少するため、内臓が低酸素状態におちいります。それを防ぐため腎臓では、エリスロポエチンとう造血因子をたくさん作り、血を増やそうとします。また造血因子と関係のある臓器(腎臓、肝臓など)が、ガンに犯されることでも、血液が異常に増殖し、多血症を起こすことがあります。
③造血幹細胞の異常
骨髄にある造血幹細胞が、何らかの異常を生じて、赤血球を沢山つくり過ぎてしまうことがあります。遺伝子の変異が関係しており、発症する頻度は10万人に1~2人程度と非常に少ないです。
上記の②や③については、明確な体の異常が起きているため、その部分から治療する必要がありますが、
見落としがちなのが①の相対的赤血球増加症です。
相対的赤血球増加症は、赤血球の数が増えるのではなく、血液中の他の成分が少なくなるため相対的に多血症になっている状態です。
このような状態は、先程のべた 脱水、肥満、ストレス、糖尿病 などによって起こります。
血中の他の成分の不足で、赤血球どうしが重なって、一つの塊のようになるのが特徴です。
塊になった赤血球は、本来の赤血球の働きができなくなるため、酸素を運搬することができず、貧血のような症状が起こります。
注意しないといけないのは、見かけ上、赤血球の量が増えたようにみえること。
検査の際、遠心分離機で調べると、血液を一度バラバラにするため、塊となった赤血球が分かれ、血が濃いように見えてしまいます。ただ実際の血液全体の量は少ないため、遠心分離機だけでは把握できないのが難点といえるでしょう。またこのような場合に、造血剤を用いると、粘りのある血液(質の悪い血液)が増えてしまい逆効果になることがあります。単純に血液を増やそうとするのではなく『良質な血を自分でつくる』ことが重要となります。
『多血症』という言葉だけ聞くと『血が多い』と勘違いしがちですが、実際には『赤血球どうしが重なり合い、酸素が運搬できない状態』になっています。
血液としての本来の役割をもたないことから、漢方的には、この状態も『血虚』と考えます。
厳密には『血虚血瘀:けっきょけつお』と言って、利用できる血が不足することで、血の滞り(瘀血)が生じています。
そのため、単純な補血(ほけつ)だけ行なうのではなく、必ず活血(かっけつ)と言って血の巡りを良くしたり、補陰(ほいん)といった体に潤いを与えることも重要となります。
多血症になる背景には、血中の水分不足だけでなく、骨髄の病気や心肺機能の低下、肝臓や腎臓に問題がある場合など多岐に渡るため、まずが①~③どのタイプの多血症か、病院で検査してから対応することが重要です。
多血症に、漢方を活用したい利点は大きく3つ
その中でも、特に注目したいのは、血管を丈夫にする・血液の質を良くする ことです。
~血管を丈夫にする~
多血症になると、血栓ができやすいため、血栓が血管を傷つける原因になります。
道路で例えると、交通渋滞を起こしている道路が、徐々に悪路に変わっている状態です。
流れる血液をキレイにすることも重要ですが、ガタガタになった道路を修復せず放置すると
そこに渋滞(血の滞り)が起きてしまいます。
漢方は、このガタガタになった血管をキレイに修復する力があります。
〈代表的な方剤:冠元顆粒〉
~血液の質を良くする~
血液の質を良くするというのは、単純に血を補うことだけではありません。
自分の力で、キレイな血をつくることも、ある意味『補血』と言えます。
漢方は、自分がもつ自然治癒力を高めることで、キレイな血をつくるよう導いてくれます。
多血症は、血液の粘りから、様々な血栓症(心筋梗塞、脳梗塞など)のリスクを高める病気です。
また近年は、多血症を伴う 月経不順や不妊症など、血の巡りに関連するご相談も増えてきました。
漢方は自分自身の力で、血管を丈夫にし、血液の質を高めるよう導いてくれます。
多血症でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。