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2023/06/02
-過敏性腸症候群- 漢方対策とカウンセリング

■どんな病気?

過敏性腸症候群とは、検査などで異常が無いにも関わらず、腸の運動異常が起こり、腹痛・お腹の張り・便秘・下痢など便通の異常が長期間(数カ月以上)続く病気です。
はっきりとした原因は分かっておらず、感染性腸炎の後に発症する場合もあり、不安や緊張によるストレス・自律神経の乱れ・腸内細菌叢の変化が大きくかかわっていると考えられています。そのため日本人の10人に1人が罹患しているといわれ、感受性が高くストレスの影響を受けやすい10~30代の若い世代に多く見られることから、ストレスと関係の深い現代病の1つとされています。

 

 

■分類

過敏性腸症候群は便の形状から、大きく「下痢型」「便秘型」「混合型」「分類不能型」の4つに分けることができます。

 

下痢型:男性に多く、緊張時やトイレに行けない状況の時に腹痛におそわれ下痢になってしまう。

____水様便や泥状便が多い。

 

便秘型:お腹が痛いのに、いきんでも便が中々出ない。ウサギのフンの様なコロコロとした硬い便。

____便が出ればお腹の痛みは軽減する。若い女性の方に多い。

 

混合型:下痢と便秘を交互に繰り返す。若い年代の方に多い。

 

分類不能型(ガス型):お腹が常に張って痛み、頻繁にオナラが出る。

 

 

 

■症状

☑何週間も下痢や便秘が続いている
☑排便すると痛みや不快感が和らぐ
☑下痢と便秘を交互に繰り返す
☑排便してもスッキリせず、残便感がある
☑ストレスや緊張でトイレに行きたくなる
☑便秘がちで、ウサギの糞のようなコロコロとした便しか出ない
☑急な腹痛でトイレに駆け込む事が多い
☑1日に何度もトイレに行きたくなる
☑おならやゲップがよく出る
☑嘔吐や吐き気がある

 

過敏性腸症候群は分類によって起きる症状が異なるため、必ずしも上記の症状すべてが当てはまる訳ではありません。自律神経の乱れから胃腸の症状以外にも、頭痛、めまい、肩こり、動悸、疲れやすいなどの症状もみられます。

また腸と脳はお互いに影響しあう関係(脳腸相関)にあるため、不眠や抑うつ、不安障害などを伴うことも少なくありません。

 

 

 

■漢方的な対策

過敏性腸症候群はストレスや自律神経の乱れによる影響が大きく、漢方では「気の巡り」が関係すると考えます。気の巡りは肝の疏泄によってコントロールされるため、元々の肝の働きが弱かったり、ストレスや疲れから肝の働きが乱れると「肝鬱気滞(かんうつきたい)」となり、自律神経の乱れや脾胃(胃腸)にまで影響して「肝気横逆(かんきおうぎゃく)」「肝脾不和(かんぴふわ)」を生じると、下痢や腹痛、便秘などの不調が起こります。

 

そのため漢方ではストレスによって乱れた肝の疏泄を整えて、体質や証に応じた処方で腸(脾)の働きを正常にします。

 

また脾胃は食事からエネルギーや栄養(気・血・津液)を生み出す臓腑になるので、元から脾胃が弱かったり、食事の不摂生で脾胃が弱っている「脾気虚(ひききょ)」では肝気の影響を受けやすくなり、脾胃の機能が乱れて不調が起きる「脾虚肝乗(ひきょかんじょう)」となります。そのため、まずは脾胃を補って胃腸を元気にしてあげる事が大切です。さらに脾胃の虚弱が進み、加齢、冷えなども加わり生命エネルギーの源である腎にまで影響が及ぶと「脾腎陽虚(ひじんようきょ)」となります。この場合は脾と腎の両方を補い、胃腸を温めてあげる処方を使う必要があります。

 

 

■食養生について

過敏性腸症候群では薬による治療だけでなく、生活習慣や睡眠の改善、適度な運動なども症状の改善に繋がりますが、食生活の見直しもまた重要になります。

 

食事に関しては消化に負担のかかる、脂質を多く含む食事、香辛料、カフェイン、アルコール、乳製品、不溶性食物繊維のとり過ぎ、冷たいもの、炭酸飲料などは避ける事で症状の緩和が期待できます。

 

近年では低FODMAP食が過敏性腸症候群の症状を緩和するのではないかと言われています。

FODMAPとは、小腸で消化・吸収されにくく大腸で発酵しやすい糖質(短鎖炭水化物)の総称の事をいいます。

 

FODMAPの多い食品をとり過ぎると、大腸で腸内細菌により発酵分解され大量のガスを発生させたり、高浸透圧を生じて腸内に大量の水分を引き込み、腹痛・お腹の張り・下痢や便秘などの胃腸症状を引き起こすと考えられています。

 

 

高FODMAP食(FODMAPの多い食品)

→小麦粉、パン、麺類、お好み焼き、牛乳、ヨーグルト、納豆、豆類、きのこ、玉ねぎ、にんにく、りんご、スイカなど

 

低FODMAP食(FODMAPの少ない食品)

→米、玄米、そば、もち、肉類、魚介類、トマト、ニンジン、ほうれん草、きゅうり、キャベツ、バナナ、イチゴ、キウイなど

 

「低FODMAP食」では上記のFODMAPを多く含む食品(高FODMAP食)を控え、お腹の不調を改善する食事法になります。

食物繊維の豊富な食品や発酵食品などの高FODMAP食を多く摂ると症状が悪化する方は「低FODMAP食」を検討してみてはどうでしょう。

 

■カウンセリングの重要性

当店では、カウンセリングに力を入れており、個々の考えを尊重し、接客しています。

 

・ストレスのかわし方

・気持ちの整理の仕方

・問題に気付くきっかけ

・当事者に関わる方々へのアドバイス  等

 

ご本人の気持ちの問題はもちろん、当事者を抱えるご家族のお悩みについても、ご相談に応じています。

またカウンセリングのみも行なっておりますので、気になる方は、お気軽にご連絡ください。

 

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