2023/03/22 |
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副鼻腔炎・蓄膿症と漢方の考え方 |
『副鼻腔炎』は、鼻の周囲にある空洞(副鼻腔)の粘膜が炎症を起こしている病気です。鼻の中(鼻腔)とつながっているため、外界からの花粉の侵入やハウスダストの刺激、細菌感染などにより炎症を起こすことで 鼻詰まり、鼻水(鼻汁)、頭痛や顔面痛など 様々な症状が生じます。また副鼻腔が炎症を起こし腫れると、中に溜まった膿が排出しづらくなる『蓄膿症』を伴うことも多くあります。副鼻腔の炎症を取るだけでなく、膿を出し菌の繁殖を防ぐことが大切です。
副鼻腔炎・蓄膿症から以下のような症状が現れることがあります。
・花粉症
・後鼻漏
・鼻茸
・味覚、嗅覚障害
・頭痛、顔面痛
・口臭
・視力低下
・疲労感、集中力の低下
副鼻腔の炎症が治りきらず長期化すると、慢性副鼻腔炎・中耳炎・咽頭炎・気管支炎等を起こすことがあります。また腫れた粘膜が鼻腔内に広がるとポリープ(鼻茸[はなたけ])ができたり、鼻水が喉に流れる後鼻漏(こうびろう)や、長期化して粘膜や神経が障害されると、においが分からなくなり、嗅覚障害や味覚障害を起こすこともあります。その他に、副鼻腔の炎症から、頭痛や顔面痛が起きたり、膿の臭いや後鼻漏、口呼吸(口の中が乾燥する)等から口臭が生じることがあります。また長期化するに従い、疲労感や集中力の低下もみられるようになります。花粉症に関しては、副鼻腔炎が原因で発症する場合や、花粉症が原因となり慢性化する場合があるため、厄介な症状の一つです。
※繰り返し起こしやすい病気のため、体質的な見直しが大変重要です。
急性期・慢性期ともに抗生剤や抗炎症薬を用います。また膿の吸引や薬剤を混ぜた蒸気を鼻から吸う『ネブライザー療法』を用いることがあります。その他、慢性副鼻腔炎にマクロライド系の抗生剤(通常量の半分)を2週間~数ヶ月服用する『マクロライド療法』や、鼻茸がある場合は、外科的な手術や行なう場合があります。
漢方では 、副鼻腔炎・蓄膿症はウィルスや細菌などの【邪気】が体内に侵入しておこると考えます。そのため以下の方法で対策をします。
・邪気の侵入を防ぐ
・邪気を体から追い払う
副鼻腔炎を起こしやすい方は、体質的に体のバリア機能【衛気:えき】が低下している場合が多くみられます。繰り返し起こさないようにするためにも、衛気の働きを高める方剤で、粘膜を強化・修復し、邪気の侵入を防ぐことで繰り返し発症しにくい体質づくりを目差します。
邪気が体の中に侵入すると、邪気 を追い払う必要があります。邪気には様々なタイプがありますが、副鼻腔炎の場合、『風邪』『熱邪』『湿邪』などが関与します。『個々の体質』や『急性期・慢性期』などを考慮し、タイプに合わせた方剤で、炎症をとり鼻の通りを良くして膿を排出します。
また副鼻腔炎の場合、慢性化することも少なくありません。その場合は、【体の内側:五臓】の機能を立て直すことも重要となります。免疫を整え、弱った体を修復する方剤を用います。
風邪や花粉症などから、繰り返し発症しやすい副鼻腔炎。初期は軽い症状も多く、今起きている症状を抑えることだけに目がいきがちです。
ただ何度も繰り返し発症したり、慢性化しやすい方は、裏側にある根本的な原因を見極めることが大切です。
長引く副鼻腔炎・蓄膿症でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。